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2016年03月25日(Fri)
【中国が16年南シナ海支配を強化する理由】
シンクタンクCSISのポリング研究員が、2月18日のCSISのサイトで、2016年は、中国がますます南シナ海における実効支配を強化しようとするため、緊張は一層激化するだろう、と指摘しています。要旨は、次の通りです。

国際的な無法者と化す中国
 南シナ海問題に関する中比仲裁裁判は、今年5月下旬頃には、中比両国に法的拘束力を持つ判決を下すとみられている。

 15からなる訴訟内容は複雑であり、最終的に裁判所がどのような結論を出すのかは明らかになっていない。しかし、中国の「9段線」主張には説得力がなく、中国は国連海洋法条約が定める以上の領海、EEZ、大陸棚を主張しうる根拠を有していないとの判決が下されるのは、ほぼ確実であろう。もっとも、この判決は南シナ海で係争中の島・岩に対する中国の領有権主張に影響を及ぼすこともなければ、広範な海洋権益主張をやめさせることにもならないかもしれない。しかし判決は、中国の地形から生じる海洋主張の内容を、地図上の曖昧な点線ではない形で明確にするよう命じるものとなるはずである。

 中国は裁判所に命令されたからといって、急に主張を明確化することはないだろうが、2013年初頭にフィリピンが仲裁裁判に提訴した時から、中国は提訴を取り下げるよう躍起になってきた。判決が出て、中国が国際的な無法者として評判を落とすコストを自覚しているからである。このコストは、中国が政治的妥協を検討する一因となっている。すなわち、中国は歴史的権利を主張するのではなく、国連海洋法条約に基づく形で「9段線」を再定義し、フィリピンが提訴を取り下げることと共同経済開発に合意することを条件に、本格的な交渉に取り組む可能性がある。こうした政治的妥協を促進するために、米比は裁判所判決に対する国際的な支持を取り付けるキャンペーンを張る必要がある。判決に対する支持は、豪州、日本、欧州の他、東南アジア諸国からも取り付ける必要がある。

南シナ海で中国が軍事力を増強させる2016年
 2015年末、中国はスプラトリー諸島で民間機の試験飛行を行い、運用可能な滑走路を確立した。スビ礁とミスチーフ礁の滑走路もまもなくそうなるはずであり、このまま何もしなければ2016年前半にも軍用機の試験飛行が実施されよう。その他4つの人工島でも、中国は海空軍のための港湾施設、レーダーの整備などを継続している。さらに、永興島で地対空ミサイルを配備したように、2016年に南シナ海で中国の軍事力が増強されることは明白である。

 南シナ海における中国の海空能力の向上は、東南アジア諸国に域外国の関与を求める声を大きくさせ、米国が当該海域における航行の自由作戦の頻度を上げているように、既に豪州も東南アジア海域の哨戒活動を拡大しつつある。

 日本でも豪州やフィリピンをはじめとする地域パートナー国との防衛協力を拡大するとともに、新日米ガイドラインを通じて南シナ海の哨戒活動における役割を拡大するかどうか議論されている。また、インド海軍も、ベトナムに対して装備を提供したり、日米豪と安全保障パートナーとなったりしている
 南シナ海における米国の情報・監視・哨戒能力は、今年1月フィリピン最高裁で米比拡大防衛協力協定が合法化されたことで確実に増強されよう。

 2016年には南シナ海における緊張が今まで以上に高まることが予想されるが、中国のさらなる侵略を抑止し、東南アジア諸国の権利を支援し、紛争管理のための政治的妥協を目指す多国間キャンペーンを行っていく余地があろう。

出 典:Gregory B. Poling ‘A Tumultuous 2016 in the South China Sea’(CSIS, February 18, 2016)
URL:http://csis.org/publication/tumultuous-2016-south-china-sea

*   *   *

 2016年には南シナ海における緊張が今まで以上に高まりそうである、と米シンクタンクCSISのポリングが述べています。

 習近平政権は、「南シナ海は古代以来中国の領土である」との独善的な領土拡張の主張をくり返し、一部パラセル諸島において、地対空ミサイルを配備しつつあります。本年には、中国とフィリピン、マレーシア、ベトナムなどの間で、漁民、石油探索船、航空機の活動などをめぐって、局地的衝突が起こる可能性が強いとの本論評の予測は当たっているように思われます。

オバマ大統領の任期中を好機とみる中国
 米国の活動については、「航行の自由作戦」の頻度が上がりつつあると本論評は述べていますが、これまでのところ、2カ月に一度程度の頻度で、中国の主張する島嶼の領海や接続水域の中を米艦船が航行する程度にとどまっています。それに対し、中国はそのような米軍の活動の前で、さらに島嶼拡張工事、ミサイル配備など軍備強化に向かいつつあります。

 中国としては、オバマ大統領の任期中が南シナ海での拡張を図る好機と見ている可能性もあります。

 最近行われたASEAN首脳とオバマ大統領との会談においては、踏み込んで具体的に中国の対応ぶりを非難するには至りませんでした。中国からの働きかけがあったのでしょうが、ASEAN10カ国の足並みが一部国家のために揃わなかったことが露呈しました。

 ハーグの仲裁裁判所が中比間の仲裁結果を5月にも公表すると報道されていますが、中国は同裁判所の管轄権そのものを拒否するのではないかと思われます。中国としては、あくまでも各個撃破の形で、自らのペースで南シナ海の問題処理を目指すとの方針に変わりはなさそうです。

 日本としては、米国、ASEANの主要国と歩調を合わせた形で、国際ルールにのっとり本件を処理する方向で、これら国々と引き続き協力する必要があります。


16:07:50
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